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【龍馬像をカラー化】プロとAIで結果はどう違うのか?

彩色写真家・山下敦史氏と考察するAI(人工知能)の可能性


近年の技術向上により、AI(人工知能)を活用したサービスが拡大している。AIに自動で生成させたイラストや、あたかも会話しているかのような文章を作成できる、対話型生成AIが話題になったのは記憶に新しい。AIによる、モノクロ画像の自動カラー化もそのうちのひとつで、幕末や昭和初期に撮影されたモノクロ画像のカラー化が広がりを見せている。研究分野はもとより、民間でもAIによるカラー化をサービスとして打ち出している企業も少なくない。そこで今回は、彩色のプロの手によってカラー化された写真と、最新版の画像編集ソフトのAIによってカラー化された写真を比較。その違いについて検証する。


 

■カラー化の専門家とAI(人工知能)が龍馬の肖像写真を彩色

彩色写真の専門家である山下敦史氏によってカラー化された「坂本龍馬湿板写真」

 今回、龍馬の肖像写真としてよく知られる「坂本龍馬湿板写真」(高知県立歴史民俗資料館所蔵)を彩色したのは、戦争・軍事関連の写真を中心として幅広くモノクロ画像の彩色を手掛ける山下敦史氏。緻密なリサーチをもとにした画像彩色の第一人者として知られる氏に、今回の坂本龍馬の肖像写真のカラー化について話をうかがった。

カラー化する前の原版である『坂本龍馬湿板写真』(高知県立歴史民俗資料館所蔵)。一般的な坂本龍馬の肖像写真としてよく知られている。

 「この写真は龍馬の画像のなかでもかなり有名なものです。先人たちによる多くの調査や考証といった研究成果がありますから、初めて見る画像を一から彩色するのに比べれば、作業は比較的にスムーズに進みました」

 

 画像にはさまざまな情報が含まれている。色についていえば、明度、彩度、色相という三属性がある。明度とは色の明るさの度合い。彩度は色の鮮やかさの度合い。色相とは「赤」「オレンジ」「黄」「緑」「青」「紫」といった色の「様相の違い」のことを指す。

 

 白黒とはいえ、モノクロ画像はこの三属性のうちの明度が明らかにされている。カラー化する際に、写真が白黒でも、明度が決まっている以上、突飛な彩色をすることはまずあり得ないという。

 

 「明度が低い、すなわち暗い部分は明るい色には絶対になりません。そこに『明るい赤』や『明るい緑』が入り込む余地はないのです。つまり、モノクロ画像は色の三属性のうちの1/3がすでに決まっていて、カラー化は残りの2/3をどうしていくか、という作業になります」

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過去記事

小野 雅彦おの まさひこ

秋田県出身。戦国時代や幕末など、日本史にまつわる記事を中心に雑誌やムックなどで執筆。近著に『「最弱」徳川家臣団の天下取り』(エムディエヌコーポレーション/矢部健太郎監修/2023)、執筆協力『歴史人物名鑑 徳川家康と最強の家臣団』(東京ニュース通信社/2022)などがある。

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